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​インフルエンザについて

 インフルエンザはかぜの一種ですが、成人でも高熱が出る、筋肉痛や関節痛が見られ重篤感が強い、脳症といった深刻な合併症の頻度が高い(ウイルス性脳症の原因ではインフルエンザが最多)という特徴があるため、普通の風邪とは違うという認識があると思います。
 潜伏期間は1から4日。無治療での発熱期間は平均3日で、典型例では1週間程度で咳や鼻汁といった周辺症状も良くなります。しかし、中には熱が1週間程度続くお子さんや、マイコプラズマや溶連菌など他の感染症を併発し、経過が複雑になるお子さんも見られます。

​ インフルエンザはワクチンで予防可能な数少ない感染症の中のひとつです。

​インフルエンザウイルスとは

 オルトミクソウイルス科に属するウイルスでインフルエンザウイルスA、B、Cの3つの属がある。A、B型は小児、成人に感染し流行を起こすが、C型は乳幼児に感染し明確な流行の形をとらない。エンベロープウイルス。1本鎖RNAを遺伝子として持ち、A、B型では粒子表面に赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ(NA)が存在する。
 (医学書院 医学大辞典 一部省略)

 インフルエンザには特効薬があるというのも、知名度を上げるひとつの要因です。代表的なものは、タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタです。新しくゾフルーザという薬剤が登場しています。それら抗インフルエンザ薬の使用率は各国で大きな差があり、それは医療制度や方針の違いによります。英国国立医療技術評価機構(NICE)のガイドラインでは、抗インフルエンザ薬の使用は主要臓器に慢性疾患を有する者、糖尿病のある者、65歳以上の者に限定されています。一方で、本邦では日本感染症学会が健常人に対しても抗インフルエンザ薬を使うことを積極的に勧めています。その理由は、健常人でも重症化する可能性があるからです。
 その方針の違いが表れた数値が、朝日新聞デジタルの2009年11月16日の記事に掲載されていましたのでご紹介します。

 この時、日本は新型インフルエンザによる死亡率がとても低かったです。それは、早期に抗インフルエンザ薬が開始されたからという理由の他に、一般人が医療機関にアクセスしやすい医療制度であるということも要因のひとつと考えられます。
 日本感染症学会からの提言がありますので、当院ではインフルエンザと診断された患者様には、基本的には抗インフルエンザ薬を処方いたします。5歳未満、特に2歳未満の方は重症化のリスクと考えられているので積極的にお勧めします。しかし、1歳未満の患者様についてはタミフルの使用経験が充分ではないため、ご相談させて頂きます。10歳代の患者様に関しては、2018年5月にタミフルと異常行動との関連は認めない(薬剤の有無にかかわらず出現しており、インフルエンザによる症状が重いほど出現しやすい)と結論されましたので、タミフルの原則禁忌は解除されています。発症から48時間以上経過している患者様については内服の抗インフルエンザ薬は効果がとぼしい(吸入薬については36時間)と考えられています。入院が必要と考えられる重い症状のある方にはラピアクタ(点滴の抗インフルエンザ薬)の使用を検討します。西洋薬に抵抗があるという方は麻黄湯や葛根湯などで対応します。西洋薬との併用も可能です。
 ただし、インフルエンザに対する最も有効な戦略はワクチンだと考えられています。詳しくはインフルエンザワクチンについてをご参照ください。

 インフルエンザウイルスは平らな表面では2日程度、衣類などの凹凸の大きい表面では半日程度生存できると言われています。空気中のウイルスは湿度が高いほど失活しやすいので、室内の加湿が大事です。

 

 


 以下は参考程度に、インフルエンザウイルスについてさらに詳しく書いています。
 インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型があり、それぞれ性質が少しずつ違います。

 

 A型インフルエンザウイルス
 A型インフルエンザウイルスは、表面タンパク質HAによって宿主の細胞表面に存在するシアル酸に吸着します。シアル酸残基のパターンにはα2→6結合とα2→3結合の2種類があり、ヒトの気道上皮にはα2→6結合、トリの大腸上皮細胞ではα2→3結合が発現しています。そのため、通常は鳥インフルエンザウイルスがヒトに感染することはありません。吸着したウイルス粒子は、宿主細胞のエンドサイトーシスによって積極的に細胞内に取り込まれますが、ウイルス粒子はエンベロープに覆われており、更に取り込まれた際にエンドソームが形成されるため、ウイルス遺伝子を宿主の核内に移行させるには、それらを除去しなければなりません。それを脱殻と言いますが、宿主の気道や消化管の細胞から分泌されるタンパク質分解酵素がHAを切断(HAの開裂と呼ぶ)し、ウイルス粒子の立体構造が崩れることによって脱殻を助けると考えられています。脱殻されたウイルス粒子から遺伝子が宿主の細胞質内に放出され、その遺伝情報から宿主細胞の機能を利用してウイルス粒子が複製されます。完成したウイルス粒子は発芽する際に宿主のシアル酸糖鎖に再び吸着しますが、ウイルスの持つノイラミニダーゼ(NA)という酵素によってシアル酸残基の部分で切断され、新たな細胞へ感染を引き起こすべく遊離していきます。このNAを阻害するのがタミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタといった薬剤で、ウイルス粒子の遊出を防ぎ、増殖を阻む働きがあります。
 A型インフルエンザウイルスは人獣共通感染症であり、自然宿主はカモで、カモはA型インフルエンザウイルスに感染しても症状を示しません。昨今話題となっている高病原性鳥インフルエンザは、カモによって持ち込まれた低病原性インフルエンザウイルスが、ニワトリなどの家禽に感染を繰り返しているうちに病原性を獲得したものだと考えられています。
 先ほど、鳥インフルエンザウイルスはシアル酸のα2→3結合パターンに感染するため、通常ヒトでは感染が成立しないと書きましたが、ヒトでは肺胞上皮にα2→3結合のシアル酸糖鎖の発現が見られます。つまり、通常は感染を引き起こしませんが、遺伝的な素因によって鳥インフルエンザウイルスに感受性があったり、ひとたび下気道への侵入を許した場合には、重篤な肺炎にいたる可能性があるということです。この変異はH1N1 pdm09(いわゆる新型インフルエンザウイルス)でも初期には見られていたと言われています。そのため、鳥インフルエンザはA型なのですが、ヒトでは主に肺胞で増殖するため、咽頭の迅速検査では検出できない可能性が示唆されています。インフルエンザウイルスは脱殻に気道上皮、消化管に存在する酵素を利用すると書きましたが、多くの細胞に普遍的に存在している酵素でHAの開裂が起きる種類があり、そうすると全身でウイルスの増殖が爆発的に生じます。高病原性鳥インフルエンザではそういった変異の見つかる率が高いと言われています。
 ブタは気道上皮にα2→6結合、α2→3結合の両方のシアル酸糖鎖が発現しており、ヒトに変異ウイルスを伝搬させる重要な宿主だと考えらています。従って、新たなタイプの流行を予測するためには、ブタインフルエンザのモニタリングが大事だという主張もあります。

 B型インフルエンザウイルス
 B型インフルエンザウイルスは、A型ほどHA、NAの多様性が少ないため、H○N○といった亜型の分類は行いません。また、アザラシでの感染の報告はあるようですが、基本的には宿主はヒトのみと考えられており、多様性が少ない理由もそこにあるのかも知れません。ヒトでの臨床症状はA型インフルエンザと区別できません。

 C型インフルエンザウイルス
 C型インフルエンザウイルスにはA型、B型のようなHA、NAが存在せず、両方の働きを持ったヘマグルチニンエステラーゼ(HE)という表面タンパク質を持っています。C型インフルエンザウイルスは主に5歳以下の小児に感染する普通感冒の原因で、臨床的に問題となることは通常ありません。